「大学のない街にしたくはない」
「学ぶ機会をなくしてしまっていいのか」
昨年3月。高岡法科大(富山県高岡市)の運営法人の理事会は、1時間ほどの予定が3時間以上も続いていた。
終盤、理事たちは、理事長が提案した「2025年度以降の学生募集停止」「28年春の閉学」に対して声をあげた。
会議を見守った根田正樹学長は、やりきれぬ思いを抱くと同時に「いかんともしがたい」とも感じていたという。
高岡法科大は1989年、北信越では初めて、法学部を備えた4年制の私大として開学した。国公立大を合わせても、富山県内で唯一の法学部。法律知識を備えた「地域社会に貢献する人材の養成」を掲げていた。
初年度は定員200人に対し、570人が入学。しかし、99年度以降、再び入学定員を満たすことはなかった。
- 増える大学、減る18歳で紆余曲折 文科省が「進化」で目指すこと
地元出身の飯野圭吾さん(21)=3年=は警察官志望。刑法を学ぶために入学したという。
大学の部活動などを通じて、地域の祭りや行事に参加する学生が多いといい、「大学がなくなったら県外に出てしまう若者が増えるのでは。何とか残せなかったのか」と残念がった。
なぜ定員割れから抜け出せなかったのか。
富山県内の18歳人口は約8…